一人暮らしに大鍋
かれこれ30年以上も前、田舎から上京して一人暮らしが始まった。
入社した会社はとてもアットホームで、家財道具がない私に土鍋をくれた人がいる。
その鍋は一人暮らしには大き過ぎる鍋で、いつ使うのよ、こんな大きなもの……。と思ったが、その冬には会社の同僚と私の家で鍋パーティーをしたり、その当時から付き合うことになった夫と鍋物を食べるときに使うようになった。
そして年月が経ち、家族が増えるたびにその鍋は随分と出番が多くなった。
私の料理の腕も上がり(?)、おでんや鍋物はもちろんのこと、ロールキャベツや豆を煮たり、茶わん蒸しやプリンを作ったりするときも大活躍。
炊飯器のスイッチを入れ忘れて大慌てな時も、20分もあればすぐ炊ける。おこげが出来たところなんて炊飯器よりも美味しい。炊き込みご飯も香ばしく炊き上がる。
所々欠けたりしているけど、これを断捨離するのは忍びない。
あの会社の人たちとのことや、料理を色々試していた若き日のことが思い出される。
今でも現役バリバリで活躍しているこの鍋はずっと使っていきたい。