「イサム・ノグチ 発見の道」―芸術の爆発はここにも
今週のお題「爆発」
昔、『レオニー』という映画を観た。
芸術家イサム・ノグチの母親の物語である。
100年前に日本人と恋に落ち、私生児を産んで時代に翻弄されても自分を貫いて生きる母(レオニー)。
今でも外国人への偏見がある中、100年前ならなおさら差別があっただろう。
その中で息子(イサム)も傷つきながら育っていく。日本とアメリカの血が流れているのにどちらに行ってもいじめがあったり。
傷心の中でイサムは大工と触れる機会があってその道具、技に魅了されていく。
そして日本での四季のある暮らし……。
そういうことが重なって後の才能が開花していったのであろう。
そんなことから「イサム・ノグチ」の作品展をやるということに興味が湧いて行ってみた。(8月某日)
東京都美術館にて「イサム・ノグチ 発見の道」という展覧会である。
入り口に入ったらいきなり和紙の照明が一杯の空間。
この空間は光の彫刻「あかり」の間である。
こんなに沢山の和紙のあかりがあるととっても幻想的な空間になる。
「ヴォイド」(虚空)という作品。
「すべてのものの存在する場所」という仏教用語だという。
まるでブラックホールのような、永遠の和のような……。不思議なつるつるした穴。
こんな道祖神みたいな作品も……。
こちらは子どものための遊具だという。
こんな遊具が公園にあったら子どもがたちが喜んで集まってきそう。
「あかり」など和紙の作品は日本に住んでいるだけでは分からない日本の良さを最大限に生かした作品である。そして膨大な彫刻作品。晩年にはより自然に回帰した作品が多くなっていったという。
美術館に行くのが好きである。
しかし、美術について詳しいわけではない、難しいことは何も分からない。
作品の意味が正確に分からなくてもよいと思っている。
非日常の空間で凡人には考えられないような創造的な作品を観て、綺麗、幻想的、面白い……、言葉にならない感じでもよい、そこに自分なりの「何か」を感じられたらそれでよいと思っている。
そしてその作者の物語を知って作品と照らし合わせながらその場の空間を感じて楽しむのが好きなのである。
それが私の心の栄養になっている。
このコロナ禍の中でこのような美術展の準備をして開催してくれた多くの人に感謝したい。そしてこの作品を観に来られたことに感激している。