「この世界の片隅に うちを見つけてくれてありがとう」

今週のお題「一気読みした漫画」

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アニメ映画で有名になった原作の「この世界の片隅に」(上中下)(こうの史代著)。
これは発売と同時に一気読みした漫画である。

 

私にとって戦争、広島弁は馴染みのないものであるが
この本を読むとすずさんがとても身近に感じられ
戦時中どうやって人々が暮らしていたかが細かにわかる。

 

着物をもんぺに直したり
野草を工夫して料理したり
お米をどうにかして水増したり……。
配給とは………
千人針とは……

 

 戦時中でも
淡い恋があり
生活の知恵があり……。

ほのぼのタッチの絵で生活の一コマ一コマが
丁寧に描かれていてとても共感を持って読みやすい。

 

そのほのぼのタッチの絵やユーモアでくるまれているが
戦争の悲惨さがすずさんの身にも刻々と迫ってくる。

兄弟や幼馴染で初恋の人との別れ……。
庶民の暮らしを踏みにじる戦争への怒りも心に刺さる。

 

悲惨な戦争……焼け野原で世界が白黒になってしまっても
世界の片隅で小さな命に愛の手を差し伸べる
そこから世界に色が付いていく……
そこで終わるので明日への希望が湧いてくる。

 

 「この世界の片隅に うちを見つけてくれてありがとう」
この言葉が何回か出てくる。
人間の出会いと別れの奇跡を感じる言葉である。

人間が生まれて死ぬことの奇跡。
人が生まれることは当たり前のようで当たり前でない奇跡。

ほのぼのタッチの絵で戦争の話と言えば
「夕凪の街 桜の国」
これを読んだときからこうの史代さんのファンである。

 

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父親の謎の行動を追う娘……。
こちらは広島に原爆が落ちた後の時代の話が中心になっている。
現代と昔を結ぶ物語にぐいぐいと引き込まれて
今私たちがこの世に生きている意味を考えさせられる。

 

娘にこれらの漫画を薦めたら

「戦争を体験した人がどんどん亡くなっている中で
こういう戦争を伝える漫画に
出会えてよかったと思っている。
その場にいたら本当に悲惨だったんだろうという状況しか
眼に浮かばない……」
という感想だった。

今年の夏もあの戦争があった夏を思い出してこれらの漫画を読み返したい。