忘れられない本……4
今週のお題「読書の秋」
忘れられない本の続き。
この本は、著者が『嵐が丘』(エミリー・ブロンテ著)のような恋愛小説を書きたい、ということから書かれた小説である。
私自身もこの小説を読んだ後、高校時代に読んだ『嵐が丘』ってどんな小説だったけ、ともう一度読んだくらいである。
アメリカで成功を収めた東太郎とは何者なのか……。謎に思いながら長い長い物語に引き込まれていく。
昭和の軽井沢を舞台に繰り広げられ、時代に翻弄される人々の物語。東太郎とよう子との関わり。そしてもう1人の雅之とは……。
『嵐が丘』のように幼い時代から続く3人の関係……緊張関係、三角関係……。
狂おしいまでの恋心……。
色々な視点から語られるこの物語。3人の心のうちは本当はどうであったのか……。
本当に本格的な小説である。たっぷりと物語を味わうことが出来る。
上下巻ある大作だったが、面白くて、読み終わるのが惜しいくらいであった。
一時期水村美苗にはまって、夏目漱石の未完である『明暗』の続きであるという『続明暗』、『日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で』『手紙、栞を添えて』『母の遺産―新聞小説』と立て続けに読んだものである。