大好きなのに私を苦しめるのは何故?

今週のお題「寿司」

大好きなのに食べてはいけないもの……それは牡蠣……。

 

海にほど遠くないところで育った私にも
大人の味である牡蠣。
子どものころはそのグロテスクな見かけから
手を出すのをためらった。

 

初めて牡蠣を口にしたのは社員旅行で言ったハワイだったかな……。
海沿いの眺めのよいテラス席で活きのよい生牡蠣をレモンでキュッとかけたやつを
頬張ったら……。
海のミルクと呼ばれるフレッシュなその牡蠣は
もう汁がじゅわっと口の中でとろけて
なんて美味しいの!!と思った。
今までこの美味しさを味わうことがなかったなんて……。

それからはレストランでは牡蠣フライ、
寿司屋では生牡蠣があったら食べていた。
特に私の田舎では回る寿司屋でも
十分に新鮮なものが食べられるので帰省のときはよく行った。

 

ところが異変が起きたのはいつの頃だったろう……。

実家にお正月に帰省をしたとき……。
皆で回る寿司屋に行って美味しい新鮮な牡蠣を食べた。

その夜中……。
猛烈に吐き気が襲ってきて……。
大人になってあんなに苦しい思いをしたのは初めてだった。
お産とどっちが苦しいか……。

その夜は一睡もできなかった。
まだ下の娘の断乳をしていなかった私であったが
私の異変を察知した娘は
私におっぱいをねだらなかった……。
その夜を境にそのまま断乳が完了。

……その時、私は一生牡蠣を食べてはいけないと誓った。

 

そして……10年の歳月が経った。

 

知人が引っ越すというので
皆でお別れ会を催した。
和食の美味しいお店で次から次へと
海鮮等の品々が出てきた。

……その中にとても美味しそうな生牡蠣が素敵な器に盛られて出てきた……。

私は理性ではダメだよ……と思ったが……。

10年経ったからもう大丈夫じゃない?

……という悪魔のささやきが……。

一つならいいでしょ……と。

 

一つ食べてみる。
美味しい!!!
やっぱり牡蠣ってなんて美味しいんだ!!

 

それから2時間後……。
トイレに籠りっぱなしで
生と死の境を彷徨っていて外に出られなくなった私は……。
救急車の担架に乗せられて病院へと向かう羽目に……。

 

……こうして私は家族に
絶対に牡蠣を食べてはいけない!!
と厳重注意されている。

 

私にとって今牡蠣を食べるということは
死を覚悟して行う行為である。